「宮沢賢治」の版間の差分

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30 行
 
=== 銀河鉄道の夜 ===
午後の授業
*「ではみなさんは、そういうふうに[[川]]だと云(い)われたり、[[乳]]の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと[[星|白いもの]]がほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊(つる)した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった[[天の川|銀河帯]]のようなところを指(さ)しながら、みんなに問(とい)をかけました。
 
ジヨバンニの切符
* おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんたうの天上へさへ行ける切符だ。天上どこぢやない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれあ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鐵道なんか、どこまででも行ける筈でさあ。
 
* 「そんな神さまうその神さまだい。」<br/>「あなたの神さまうその神さまよ。」<br/>「さうぢやないよ。」<br/>「あなたの神さまつてどんな神さまですか。」
*どうか[[神]]さま。私の[[心]]をごらん下さい。こんなにむなしく[[命]]をすてずどうかこの次にはまことのみんなの[[幸福|幸]](さいわい)のために私のからだをおつかい下さい。
 
*どうか[[神]]さま。私の[[心]]をごらん下さい。こんなにむなしく[[命]]をすてずどうかこの次にはまことのみんなの[[幸福|幸]](さいわい)のために私のからだをおつかい下さい。
*「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」</br>「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
 
* 「カムパネルラ、また僕たち二人きりになたねえ、どこまでもどこまでも一緒に行う。僕はもうあのさそりのうにほんうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまない。」</br/>「うん。僕だうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでました。<br/>「'''けれどもほんたうのさいはひは一體何だらう。'''」
* ああマジエランの星雲だ。さあもうきつと僕は僕のために、僕のお母さんのために、カムパネルラのために、みんなのために、ほんたうのほんたうの幸福をさがすぞ。
 
* 僕、もうあんな大きな闇の中だつてこはくない、きつとみんなのほんたうのさいはひをさがしに行く、どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう。
* 僕きつとまつすぐに進みます。きつとほんたうの幸福を求めます。