「福澤諭吉」の版間の差分

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* 我日本国人も今より学問に志し、気力を<ruby><rb>慥</rb><rp>(</rp><rt>たしか</rt><rp>)</rp></ruby>にして、<ruby><rb>先</rb><rp>(</rp><rt>ま</rt><rp>)</rp></ruby>ず一身の独立を<ruby><rb>謀</rb><rp>(</rp><rt>はか</rt><rp>)</rp></ruby>り、<ruby><rb>随</rb><rp>(</rp><rt>したがつ</rt><rp>)</rp></ruby>て一国の富強を致すことあらば、何ぞ西洋人の力を恐るゝに足らん。道理あるものはこれに<ruby><rb>交</rb><rp>(</rp><rt>まじわ</rt><rp>)</rp></ruby>り、道理なきものはこれを打払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこの事なり。
* 天理人道に従て互の交を結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐入り、道のためには英吉利・亞米利加の軍艦をも恐れず、國の耻辱とありては日本國中の人民一人も殘らず命を棄てゝ國の威光を落さゞるこそ、一國の自由獨立と申すべきなり。
* かかる愚民を支配するにはとても道理をもって諭(さと)すべき方便なければ、ただ威をもって畏(おど)すのみ。西洋の諺(ことわざ)に「愚民の上に苛(から)き政府あり」とはこのことなり。こは政府の苛きにあらず、愚民のみずから招く災(わざわい)なり。愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。ゆえに今わが日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり。
 
===『通俗国権論』===