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=== 『古今和歌集』===
==== 仮名序 ====
*やまとうたは 人ひとの心こころをたねとして よろづの言ことの葉はとぞ なれりける
*世の中にある 人ことわざ しげきものなれば 心に思おもふ事ことを 見るものきくものに つけていひいだせるなり
*花になくうぐひす 水にすむかはづの声こゑをきけば いきとしいけるものいづれか歌うたをよまざりける
*ちからをもいれずしてあめつちをうごかし 眼めに見えぬ 鬼おに神をもあはれとおもはせ 男女をとこをむなのなかをもやはらげ たけきものゝふの心をもなぐさむるは歌うたなり
*この歌うた 天地あめつちの開ひらけ始けはじまりけるときより いできにけり しかあれども 世に伝つたはることは ひさかたの天あめにしては 下照姫したてるひめに始はじまり あらがかねの地つちにしては [[日本神話#八雲立つ|素戔嗚尊すさのをのみこと]]よりぞ起おこりける ちはやぶる神世には うたのもじも定さだまらず すなほにして 言事の心分わきがたかりけらし 人ひとの世となりて 素戔嗚尊すさのをのみことよりぞ起おこりける
*ちはやぶる神世には、歌うたの文字も定じもさだまらず、すなほにして、言事の心分わきがたかりけらし
*人ひとの世となりて、素戔嗚尊すさのをのみことよりぞ、三十文字余みそもじあまり一文字ひともじはよみける
*かくてぞ 花をめで 鳥とりをうらやみ 霞かすみをあはれび 露つゆをかなしぶ心 言葉多ことばおほく さまざまになりにける。遠とほき所も いで立たつ足あしもとより始はじまりて 年月をわたり 高たかき山も ふもとの塵泥ちりひぢよりなりて 天雲あまぐもたなびくまで生おひ上のぼれるごとくに この歌うたも かくのごとくなるべし
*難波津なにはづの歌うたは 帝みかどの御初おほむはじめなり
*安積あさか山のことばは 采女うぬめのたはぶれよりよみて このふた歌うたは 歌うたの父母ちちははのやうにてぞ 手習ならふ人の 初はじめにもしける
(中略）
*いにしへより かくつたはるうちにも ならの御時よりぞ ひろまりにける
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*かのおほむ時に おほきみつのくらゐ[[柿本人麻呂|かきのもとの人まろ]]なむ うたのひじりなりける。
(中略）
*人まろはあかひとがかみにたたむことかたく [[山部赤人|あか人]]は人まろがしもにたたむことかたくなむありける
(中略）
*たとひ時うつり ことさり たのしび かなしびゆきかふとも このうたのもじあるをや
(中略）
*うたのさまをもしり ことの心をえたらむ人は おほぞらの月を見るがごとくに、いにしへをあふぎて、いまをこひざらめかも
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