狭野弟上娘子
狭野弟上娘子(さの の おとかみおとめ、生没年不詳)または写本により狭野茅上娘子(さの の ちがみおとめ)は万葉集の女性歌人。夫は天平朝に越前国に流罪となった中臣宅守(天平13年赦免)で、宅守との贈答歌が『万葉集』巻十五に残っている。
引用
編集引用はウィキソース日本語版により、適時振り仮名を補った。番号は国歌大観番号。
娘子が別れに臨みて作りし歌
編集- あしひきの山道越えむとする君を心に持ちて安けくもなし
- 『万葉集』巻十五3723。
- 君が行く道の長手を繰り
畳 ね焼き滅ぼさむ天の火もがも- 『万葉集』巻十五3724。
- 我が背子しけだし罷らば白栲の袖を振らさね見つつ偲はむ
- 『万葉集』巻十五3725。
- このころは恋ひつつもあらむ玉櫛笥明けてをちよりすべなかるべし
- 『万葉集』巻十五3726。
その他
編集- 命あらば逢ふこともあらむ我がゆゑにはだな思ひそ命だに経ば
- 『万葉集』巻十五3745。
他国 は住み悪しとぞ言ふ速 けく早帰りませ恋ひ死なぬとに- 『万葉集』巻十五3748。
- 他国に君をいませていつまでか我が恋ひ居らむ時の知らなく
- 『万葉集』巻十五3749。