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'''[[w:宮沢賢治|宮沢賢治]] (みやざわ
▲みやざわ けんじ。日本の明治・大正時代の詩人、童話作家、農学者。生前発表された作品はごく僅かで、多量の未発表作品が死後刊行された。そのなかには題がなくて、便宜的に題が附されたものが多いことに注意せられたい。
== 出典の明らかなもの ==
=== 春と修羅 ===
*わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です。
*さつき火事だとさわぎましたのは[[虹]]でございました<BR>もう一時間もつづいてりんと張つて居ります
*
* けふのうちに<br>とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ<br>みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ<br>(あめゆじゅとてちてけんじゃ)*
*
▲*:『春と修羅 第二集』「永訣の朝」冒頭句
*[[太刀]]は[[稲妻]]萱穂のさやぎ<br>[[獅子]]の星座に散る[[流星|火の雨]]の<br>消えてあとない天のがはら<br>打つも果てるもひとつのいのち
=== 注文の多い料理店
* イーハトヴは一つの地名で夢の國としての日本岩手縣であります
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*わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。<br/>またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。<br/>わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。<br/>これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。<br/>ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。<br/>ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。<br/>ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。<br/>けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
** 序
=== 雨ニモマケズ ===
*[[雨]]ニモマケズ<br/>[[風]]ニモマケズ<br/>[[雪]]ニモ[[夏]]ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ<br/>慾ハナク<br/>決シテ瞋ラズ<br/>イツモシヅカニワラツテヰル<br/>一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ<br/>アラユルコトヲ<br/>ジブンヲカンジョウニ入レズニヨクミキキシワカリ<br/>ソシテワスレズ<br/>野原ノ[[松]]ノ林ノ蔭ノ小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ<br/>[[東]]ニ病気ノ子供アレバ<br/>行ツテ看病シテヤリ<br/>[[西]]ニ疲レタ[[母]]アレバ<br/>行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ<br/>[[南]]ニ死ニサウナ人アレバ<br/>行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ<br/>[[北]]ニケンクワヤソシヨウガアレバ<br/>ツマラナイカラヤメロトイヒ<br/>ヒデリノトキハナミダヲナガシ<br/>サムサノナツハオロオロアルキ<br/>ミンナニデクノボートヨバレ<br/>ホメラレモセズ<br/>クニモサレズ<br/>サウイフモノニ<br/>ワタシハナリタイ
▲:::*『〈新潮日本文学アルバム〉宮沢賢治』(新潮社、1984)掲載自筆原稿より
=== 風の又三郎 ===
=== 銀河鉄道の夜 ===
*「ではみなさんは、そういうふうに[[川]]だと云(い)われたり、[[乳]]の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと[[星|白いもの]]がほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊(つる)した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった[[天の川|銀河帯]]のようなところを指(さ)しながら、みんなに問(とい)をかけました。
* おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんたうの天上へさへ行ける切符だ。天上どこぢやない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれあ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鐵道なんか、どこまででも行ける筈でさあ。
*どうか[[神]]さま。私の[[心]]をごらん下さい。こんなにむなしく[[命]]をすてずどうかこの次にはまことのみんなの[[幸福|幸]](さいわい)のために私のからだをおつかい下さい。
*「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」</br>「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
* ああマジエランの星雲だ。さあもうきつと僕は僕のために、僕のお母さんのために、カムパネルラのために、みんなのために、ほんたうのほんたうの幸福をさがすぞ。
* 僕きつとまつすぐに進みます。きつとほんたうの幸福を求めます。
===眼にて云ふ===
だめでせう<br/>とまりませんな<br/>がぶがぶ湧いてゐるですからな<br/>ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから<br/>そこらは青くしんしんとして<br/>どうも間もなく死にさうです<br/>けれどもなんといゝ風でせう<br/>もう清明が近いので<br/>あんなに青ぞらからもりあがって湧くやうに<br/>きれいな風が来るですな<br/>もみぢの嫩芽と毛のやうな花に<br/>秋草のやうな波をたて<br/>焼痕のある藺草のむしろも青いです<br/>あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが<br/>黒いフロックコートを召して<br/>こんなに本気にいろいろ手あてもしていたゞけば<br/>これで死んでもまづは文句もありません<br/>血がでてゐるにかゝはらず<br/>こんなにのんきで苦しくないのは<br/>魂魄なかばからだをはなれたのですかな<br/>たゞどうも血のために<br/>それを云へないがひどいです<br/>あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが<br/>わたくしから見えるのは<br/>やっぱりきれいな青ぞらと<br/>すきとほった風ばかりです。
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