小林多喜二
小林 多喜二(こばやし たきじ、1903年10月13日(明治36年) - 1933年2月20日(昭和8年))は、日本人の小説家、共産主義者である。現在の秋田県生まれ。北海道小樽市育ち。治安維持法違反容疑で逮捕され、東京府築地警察署にて特別高等警察の拷問により獄死した。
- 「おい、地獄さ行くんだで!」
二人はデッキの手すりに寄りかゝつて、蝸牛が背のびをしたやうに延びて、海に抱え込んでゐる凾館の街を見てゐた。
-漁夫は指下まで吸ひつくした煙草を*1(唾)と一緒に捨てた。
巻煙草はおどけたやうに、色々にひつくりかへつて、高い船腹をすれずれに落ちて行つた。
彼は身体一杯酒臭かつた。