大田南畝
日本の江戸時代の文人、狂歌師、御家人
大田 南畝(おおた なんぽ、1749 - 1823年)は、江戸時代の文人、戯作者、狂歌師。本名:大田覃(おおた ふかし)、通称:直次郎、のち七左衛門。筆名に寝惚先生、杏花園、玉川漁翁、石楠斎など、狂名に四方赤良(よもの あから)、蜀山人(しょくさんじん)などがある。
狂歌
編集四方赤良として
編集- 世の中は色と酒とが敵なりどふぞ敵にめぐりあいたい
- わが禁酒破れ衣となりにけりさしてもらおうついでもらおう
- をやまんとすれども雨の足しげく又もふみこむ恋のぬかるみ
- ものゝふも臆病風やたちぬらん大つごもりのかけとりの聲
- 世の中はいつも月夜に米のめしさてまた申し金のほしさよ
- 長生をすれば苦しき責を受くめでた過ぎたる御代の静けさ
- 難や見物遊山は御法度で銭金持たず死ぬる日を待つ
- 今さらに何か惜しまむ神武より二千年来暮れてゆく年
- ほととぎす鳴きつるあとにあきれたる後徳大寺の有明の顔
- 『千載集』後徳大寺左大臣「郭公のなきつるかたをながむればただ有明の月ぞのこれる」が本歌
- 山吹のはながみばかり金いれにみのひとつだになきぞかなしき
- 『後拾遺集』兼明親王「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき」が本歌
- 世の中に蚊ほどうるさきものはなしぶんぶといひて夜もねられず(存疑、本人は否定しており今日の南畝研究でも否定的な説が強い)
蜀山人として
編集- 鎌倉の海よりいでしはつ鰹みなむさし野のはらにこそいれ
- 雑巾も当て字で書けば蔵と金あちらふくふくこちらふくふく
- 冥途から今にも使が来たりなば九十九迄は留守とこたへよ(存疑)
- ひとつとりふたつとりてはやいてくふ鶉なくなる深草のさと
- 『千載集』藤原俊成「夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里」が本歌
- 駒とめて袖うちはらふ世話もなし坊主合羽の雪の夕ぐれ
- 『新古今集』藤原定家「駒とめて袖うちはらふかげもなしさののわたりの雪の夕暮」が本歌
- 世の中にたえて女のなかりせばをとこの心はのどけからまし
- 『古今集』在原業平「世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし」が本歌