尾崎放哉
日本の俳人 (1885 - 1926)
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尾崎放哉(おざきほうさい、1885年‐1926年)。日本の俳人。鳥取県出身の自由律俳句の代表的俳人。没後、師の荻原井泉水の編んだ句集『大空』(たいくう)(1926年)がある。(唯一の句集)
大空(大正15年)
編集- 大空のました帽子かぶらず
- 夕日の中へ力いつぱい馬を追ひかける -一燈園にて-
- 一日物云(い)はず蝶の影さす -須磨寺にて-
- 波音正しく明けて居るなり
- 仏にひまをもらつて洗濯してゐる
- こんなよい月を一人で見て寝る
- 糸瓜(へちま)が笑つたやうな円右(えんう)が死んだか
- 一人分の米白々と洗ひあげたる -小浜にて-
- 考えごとをしている田螺が歩いている
- 蛙たくさん鳴かせ灯を消して寝る
- 淋しいからだから爪がのびだす
- 昼寝の足のうらが見えてゐる訪(おとな)ふ -京都にて-
- 漬物石になりすまし墓のかけである -小豆島にて-
- すばらしい乳房だ蚊が居る
- 足のうら洗へば白くなる
- 爪切つたゆびが十本ある
- 入れものが無い両手で受ける
- せきをしてもひとり
- 一人の道が暮れて来た
- 汽車が走る山火事
- 月夜の葦が折れとる
- 墓のうらに廻る
- 枯枝ほきほき折るによし
- 渚白い足出し
- 肉がやせて来る太い骨である
- はるの山のうしろからけむりが出だした