慈円
日本の平安~鎌倉時代の僧侶、歌人
慈円(じえん、1155年 - 1225年)は平安時代後期の日本の僧侶。天台座主。関白藤原忠通の息子。歴史書『愚管抄』の作者。吉水僧正とも。
引用
編集千載和歌集
編集- おほけなくうき世の民におほふかなわが立つ杣に墨染の袖
- 『千載和歌集』。藤原定家の『小倉百人一首』にも収録。
- 古くは天台座主就任(1192年)の決意の歌とする説があるが、千載集は1188年(文治四年)に完成したため、年代があわない。
- 旅の世にまた旅寝して草まくら夢のうちにも夢をみるかな
- 『千載和歌集』。
- 旅の世に又旅寝して草枕夢のうちにも夢をみる哉 (新日本古典文学大系. 51 / 宗祇終焉記 p.452 鶴崎裕雄 福田秀一 校注)
- 旅のように定めのない人生の中で旅をして、その旅寝の夢の中でまた夢をみることだ。人生の無情を謳う。 (新日本古典文学大系. 51 / 宗祇終焉記 p.452 鶴崎裕雄 福田秀一 校注)
新古今和歌集
編集- 散りはてて花のかげなき木(こ)のもとにたつことやすき夏衣かな
- 『新古今和歌集』。詞書は「更衣をよみ侍りける」。
- 身にとまる思ひをおきのうは葉にてこのごろかなし夕暮のそら
- 『新古今和歌集』。詞書は「題知らず」。
- おほえ山かたぶく月の影さえて鳥羽田(とばた)の面におつるかりがね
- 『新古今和歌集』。詞書は「五十首歌たてまつりし時、月前聞雁といふことを」。
- 「おほえ山」は大枝山、山城・丹波国境の山。現在の亀岡市と京都市の境にあたる。
- みな人の知り顔にして知らぬかなかならず死ぬるならひありとは
- 蓬生にいつか置くべき露の身はけふの夕暮あすの曙
- 我もいつぞあらましかばと見し人を偲ぶとすればいとど添ひゆく
- 『新古今和歌集』。詞書は「無常の心を」。三首が並ぶ。